「そういうことは相談しろよ」
「したら止められるのは目に見えているもの」
「俺がそんなことするわけねえだろ」
そんなことはない。
下手な言い訳を作ってやめさせるに違いない。
理由は簡単。
「あるわよ。綾は早くここに馴染んでもらいたいでしょ。だけどこんなことをしたらみんなと仲良くなるのが遅くなる」
あたしだって馴染みたくないわけじゃない。
むしろ仲良くなりたい。
でも、突然のあたしの登場に、明らかに不服の子だっているんだ。
そういう彼らの気持ちが吐き出せる場所をあたしは作らなきゃいけない。
誰にも疑われない状況を作るには最初に信頼を得ることが大事なはず。
でもね、信頼を得るのはとても難しいことなんだよ。
だから、あたしは2週間の期限を作った。
あたしをどれだけ見定めても、睨んでもいいように。
それで、信頼出来ないひとが1人でもいたらあたしはここを出る。
それであたしも彼らと向き合うことができる。
このグループを大きなものにしているのは彼ら一人一人なのだから。