再びざわつく大勢の人人人。
「誰すかー」
「こいつだ」
そういうと、あたしをヒョイと中央にあげると。
「挨拶」
と命令された。
そうは言っても人の顔がよく見えない。
人が多すぎてみんなの顔が米粒のようだ。
「下に降りていい?」
「は?」
綾の返事を待たずにあたしは一階に降りた。
…ますますよく見えない。
でも、近い子の顔はよく見える。
まだこちらの方がいいのかもしれない。
背の高い人の量の多さに恐怖心がないわけではなかったけど。
あたしがここに立つのはこれからの為。
これほど絶好の人の顔を覚えるチャンスを得られることはそうない。
だから、人の顔が見られる位置で話をしたかった。
米粒のような大きさでは覚えられるものも覚えられない。
「初めまして、水島 和佳菜です。訳あって
これからここでお世話になりたいと思っています」
「えっ?姫?」
「総長はいないけど、許しはもらってんのかな」
そうだよね、いきなりで驚くのは無理ない。
「本当にいきなりこんな他人が入って来て、ごめんなさい。不安に思ってる人も多いと思います。だから、皆さんに1つ提案をしてもいいですか?」



