「昨日、人ボコボコに殴ってたbeastさんですか?」
「お前、ほんと勇者だなあ。南も言ってたけど、そんなこと言えるのお前しか居ねえよ」
たしかに、翔さんが言ってた通り、これはちょっと失礼だったかもしれない。
「だけど本当に信じられなくて」
血だらけで人を殴っていた、目の前の人は。
雰囲気、違いすぎませんか?
ゴールドのかきあげられた前髪にセットされた髪型。
スッキリとした鼻筋に細くキリッとした目。
綾とは違った意味でカッコいいという言葉がよく似合う、その男。
暗くてこの前は顔がよく見えなかったけど、総長の顔立ちもやはりすごく整っているんだ。
翔さんや綾とはまた違った、何かを寄せ付けることのないオーラが。
彼にはあった。
「現実だ」
「失礼なことを言ってすみません」
「気にしてない」
「改めて聞かせてもらうわ。…あなたがbeast?」
「その呼び名は好きじゃない。俺は、東屋 仁(あずま じん)。仁と呼べ」
「よろしく、仁。それで本当に交代で送るの?」
綾については自分でしたことだから罪悪感とかは何もないけど、仁は違う。
仁は巻き込まれる側の人間なのだ。



