ぷっ……と、誰かの吹き出した声が聞こえた。
見渡すと、翔さんがお腹を抱えて笑っている。
「あの、失礼ですよ?」
「失礼じゃねえよ。おまっ、こいつが誰かわかんねえのか?」
「会ったことがあるんですか?」
「会ったことがあるも、何も昨日会ったじゃねえか。忘れたのか」
王様みたいな顔した目の前の人が、そう言った。
「顔、怖いですよ」
あたし、こんな綺麗な顔の人と昨日会ったっけ?
とうとう綾も笑い出した。
「ほんとわかんねえのか?こいつはbeastだよ」
beast…?
そういえば、彼の本名を聞いたことがなかった。
何故だろう、知ろうとも思えなかったのだけど。



