「バイク、乗って」
相楽さんは冷徹な声であたしにそう告げた。
「わかりました」
乗り方もコツもある程度は知っている。
大学に通っていた頃はよくあの人の後ろに乗ったものだ。
「…乗れるの?」
乗ろうとして、足をかけた時驚いたような声が降ってきた。
見ると相楽さんも村上さんも目を見開いてあたしを見ている。
村上さんはともかく、相楽さんはあたしに乗れって言ったよね。
まさかあたしが乗れないのだと思っていて自力で乗らせようとしていたのか。
それはかなり酷くないか?
だけど、それは、そうか。
あたし、見た目はものすごく普通の人だから、1人で乗れるイメージはないかもしれない。
「乗れますよ」
でも、あたしの過去は訳ありだから。
これくらいのことはできるんだよ。
あなたたちに話すつもりは毛頭ないけど。
「じゃっ、行きますか!」
あたしは村上さんの後ろに乗ると、その声に小さく頷いた。



