「噂されてるの。転校生が来るって」
「転校生…?」
確かに、それは誰の話題にも上がるかもしれない。
だけど、こんな時期に?
もう、7月なんだけどなあ。
いくらなんでも季節外れじゃない?
「そうなの!その人がね…」
その時ドアの開ける音が響きわたる。
担任が来たんだ。
まっちゃんとみんなに呼ばれる、松田先生が。
「席つけー」
まだ何か話したげな流梨花が、じゃあねまたねと名残惜しそうに手を振った。
その手に振り返した後、あたしはすぐ近くの自分の席に腰を下ろす。
「連絡の前に紹介したい人がいる」
「まっちゃんの彼女?」
おどけたようにチャラめの男子が聞いた。
「そんなわけないだろ。新しい仲間の話だ。ほら、入ってきて」
ガラガラと開いたドア。
そして、姿を見た瞬間。
息が、できなくなった。