「綾が迎えに行ってくれって頼んだんだよ」
相楽さんが、小さな声でそう言った。
え、…綾が?
「自分は急に用事が入ったんだと」
あたしの何故という疑問を相楽さんが埋めてはくれたけど。
「ついて来な。綾に、会わせてやるよ」
だけど、村上と自己紹介した男の言葉を簡単に信じ込むほどあたしは純粋ではない。
「おふたりは、本当に獅獣なんですか?」
「そうだけど。さっきもそう言ったよね?」
面倒くさいとでも言うように相楽という人があたしを見る。
「そうなんですけど。なにか、証拠がほしいです。あたし、見知らぬ人についていくほど人を信用してるわけじゃないので」
信用にはそれほどの確証がほしいもの。
でも、村上さんはそれに眉を寄せて悲しげにあたしを見た。