「というか、貴方達、誰?誰も知り合いがいないのはとても居苦しいのだけど。いなくていいならあたし帰るわ」
「そうか、お前は俺らと初めてあったもんな。俺らは獅獣だよ。俺が村上(むらかみ)。こっちが相楽(さがら)だ。よく覚えておけ、愚かな女」
…どうも罵倒されるのが気に触るが、まあここで諍いをしても、なにも生まれない。
あたしは大人、あたしは大人。
そう言い聞かせて、心を鎮めた。
「うーん?村ちゃんとさーくん、知らないの?君たち仲間だよね?」
「こっちにも色々とあんだよ。南、お前には関係ないことだ」
「僕らは因縁の相手って言った方が正しいよね、獅獣の皆さん」
「おい!無視すんなよ!」
因縁の相手とはどういうことなのか。
というか、この人達が獅獣?
つまりは、綾の仲間か。
少し肩の力が抜けて、楽になる。
だけどそんなこともしてられない。
他にも色々と聴きたいことがあったが、これ以上注目を集める方が苦痛だ。
あたし、ママに目立つなって散々言われてきたんだけど、どう頑張っても目立つのよ。
なんかもう、諦めたくなってきたわ。



