「ちょーっと、お姉ちゃん」


ずっと下を向いて歩いていたせいで、人に囲まれていたのに気がつかなかった。

金髪や銀髪の大勢の男達。

人数なんて分からない。


不覚だ。

いつものあたしならこんなこと起こらないのに。


「…なに」


「キミ、獅龍のお姫様だよね?」


「違うわ」


「嘘つかないでよ。昨日宣言されてたでしょ?」


『ここで姫宣言したら、お前は一生ヤクザにつけ狙われるってことだ。いい加減自覚しろ』


こういうことか。


と、綾が昨日言った意味をようやく理解した。