しばらく沈黙が続いた。
通話が終わったのかもしれないと、切ろうとしたら。
「……和佳菜、今どこにいる」
綾の声が聞こえてきたので慌てて耳に近づける。
「どこって家だけど」
「お前の家から1番近い駅は、どこの駅だ」
「……谷岡駅」
「じゃそこに16時40分に行く。お前も来い」
「は?」
「は?じゃねえ。今から30分以内にその、…谷岡駅?に来い」
「なんで、駅で待ち合わせなのよ。てか、なんであたしの番号知ってんのよ」
「今更かよ。琢磨さんに教えてもらったんだ。とにかく来いよ」
「行きたくない」
うっかり答えてしまった自分に腹が立つ。
なんで答えてしまったのだろう。
「明日どうなってもいいのか?」
「……何が言いたいの」
「Ms.Sena Mizushima.」
……それは。



