「その話何度も聞いた〜」


その時このみの後ろから顔を出して、笑った流梨花が、つまらなそうに小首を傾げた。


まるで飽きた、とでも言うように。


「そっか、流梨花には何度も話してるもんね」

そう言って笑った。

流梨花は納得してるようだけど、やはりこのみは訝しがっている。

いつになったらこの質問をやめてくれるのか、あたしは聞きたくてたまらなかった。


「あのねーこの前ね。あたし…」


そこで話が切り替わる。


話したがり屋な流梨花が自分の話に話題を転換させるのに、少しだけ安心して、誰にも気づかれないように小さくため息をついた。


それが、あたしにとっては好都合だったから。


できるなら、この話題を出したくなかった。


したってどうせ誰も理解など出来ないのだから。


だから、それなら誰にも知られなくていい。


同情されるよりそっちのほうがずっとよかった。


流梨花に話を止めてもらって助かった。


と、流梨花に感謝しながら、頭に入らない彼女の話に相槌をうった。