わたしが答えると、
クスッと笑いながら。


「……甘くなんかないよ」

「え?」

「さとうが足りないんだよ」


会話がいまいち噛み合っていないまま、びとうくんは席から離れてどこかへ行ってしまった。

これがわたしとびとうくんが初めて交わした会話。


同じクラスでもほとんど接点がなくて、謎なイメージだったけど、

この日の会話でわたしの中の"びとうくん"という存在はますます謎が深まっていった。


それと同時に、興味がわいてきた。

どんな人なのか知りたくなって自然と、びとうくんの存在を気にするようになった。


きっとこの時から、わたしはびとうくんに━━━。