「それに、さくらは先輩のことを下の名前で呼んでますけど、先輩は慣れてるみたいです。長い付き合い、ですよね?」
観察力、推理力がありますね。
探偵とか刑事、そういうものが向いてる気がする。
「先輩、聞いてますか?」
聞いてる。
どう言い逃れようか、考えてるだけ。
……しかしまあ、出てこない。
「そんなに言い難いことなんですか?」
「叶花が言いたくないって言うからさ。いくら叶花と仲のいい……こっこでも言えない」
すると、彼女は驚いた顔を見せたと思うと、呆れられた。
「先輩、私の名前、覚えてませんね」
……すみません。
叶花が呼び続ける「こっこ」が頭に染み付いてるのもあって、つい。
「まあいいです。とりあえず、先輩がさくらのことを大切に思ってることがわかったんで」
……恥ずかしいことを言ってくれる。
「それを知ってどうするつもり?」
「どうもしませんよ。ただ、先輩を便利に使えるようになるなって」
脅す気か。