「お母さんね、私とお兄ちゃんが喧嘩してるのわかったみたいで、仲直りするなら連れてってあげるって言ってくれたの」
さすが、母親。
侮れないな。
叶花を見ないにしろ、あんな結斗さんを見れば、なにかあったと思うのは当然だろう。
そうか、理香子さんが。
「じゃあ、俺はいらなくないか」
「ううん! 蓮くんも行くの!」
理由がわからない。
俺が行けば、関係を悪化させるだけだぞ。
「お兄ちゃんに、亜美さん。私と蓮くんで話すの。じゃなきゃ、この問題は解決しないでしょ?」
まあそうかもしれない。
だけど、もう関わりたくないとも思うわけで。
「それでね、お兄ちゃんのところに行った帰りに、スポーツ公園のあきざくらを見に行こうと思うって!」
浮かれてる本当の理由はこれか。
「蓮くんとあきざくら見たいの!」
「だからついて来い、と」
「うん!」
これを聞いてもなお、断ろうと思うのは、俺がスポーツ公園で待っておけばいいと思うからだ。