「図書室にあるから、先生が来てから取りに行こう」



となると、文芸部の準備はこれで終わりか。



「それじゃ、僕はクラスのほうに戻るね」



そう言って、先輩は自分のクラスに戻って行った。



さて困った。


クラスのほうに行きたくない。



「あれ、準備終わったの?」


「すみれ先輩だ! 美術部のほう、終わったの?」



彼女が入ってきた瞬間、叶花は部誌を閉じ、跳ねるように言った。



「今休憩中なの」


「そうなんだ。こっちはね、オレンジ色のテーブルクロスがないねって、作業が止まったの!」



ちょっとニュアンスが違う気がする。



「それって、図書室にあるやつかな? 取りに行けるよ」



……よし来た。



こっちで仕事が出来れば、戻る必要がない。



「でも、雨宮先輩は先生がいないと無理って」


「先生待ってたら、準備が終わらないよ。先生も、クラスのほうがあるし」



……終わらなくていいと思ったことは言わないでおこう。