夏休みが終わると、学校は文化祭の色に染まる。


一週間かけて、学校を装飾していく。



夏休みの間に文化祭委員やクラス委員を中心に準備をしていたらしい。



文芸部のほうも、八月下旬に部誌の完成品が届いていたそう。



これほど他人事のように言うのは、体育祭のときと同様、俺にやる気がないからだ。


どちらも、やりたい人が懸命にすればいいというスタンスでいるから、こうなる。



「部誌は一冊百円で売る。台は、この机を使うんだ。浅賀くん、ちょっと手伝ってくれるかな」



先輩が指したのは、職員室で教師が使っているような、重そうな机。


こればっかりは、非協力的ではいられないな。



部室にはその机が二つあり、全部廊下に出して並べた。



「広い!」



部員用と渡された部誌を読んでいたはずの叶花は、部室ではしゃいでいた。



「ね、雨宮くん! 机はあのままなの?」



……先輩はどこに行った、先輩は。


まあ、叶花の本当の歳を知っている人しかいないから、そう言ったんだろうが。



「いや、オレンジ色のテーブルクロスみたいのを置くんだけど……」



そんなもの、部室には見当たらない。