「あれだけ冷静で、大人な判断が出来る蓮くんが、理由もなしにあんなことするわけないって、ちゃんとわかってるよ」
叶花はなぜか胸を張った。
そんなに俺のことがわかってるにしても、それをどこの誰に誇れるんだ。
それにしても……本当に、敵わない。
俺と叶花を比べて、単純なのは叶花だと言う人は多いだろう。
だが実際は違う。
俺のほうがガキで、単純なんだ。
「で、なに言われたの?」
「……それは言えない」
叶花に言ったら、いけないこと。
「そっか」
そして、沈黙が流れる。
よくよく考えたら、公園に残ってるのはこっこと結斗さんじゃないか。
「叶花、戻ったら? 花火もまだ、あるんだろ。俺は帰るから」
「なに言ってるの? 蓮くんも戻るよ」
結斗さんとあんな喧嘩をしておきながら、戻るのは気まずい。
「まだ線香花火の写真、撮ってもらってないんだから! それに、誰が一番長く出来るかの勝負もしてみたいの!」
こうして、俺は叶花に引きずられて戻り、叶花がしたいと言った線香花火の勝負もやり、解散となった。