今日もいつも通り出勤した。朝は自分でコーヒーを淹れ、デスクでメールの確認と並行して書類に目を通して行く。私より遅めに出勤してくる後輩女性社員。コートを脱ぎながら身だしなみを整えている子が『赤井先輩私にもコーヒー淹れてくださいー』と言った。"私は先輩だぞ?お前自分で淹れろ"と言う怒りの気持ちを飲み込み何も言わずに淹れてデスクに置いてあげ、自分の席での作業に戻る。どこか少し離れた場所で『流石雑用お局様。まじ使えるわープライドとかないんかな』という声が聞こえた気がしたが、それも無視する。
私の仕事スタイルは必要以上のことは会話しない。言われる前に仕事をこなす。書類は何度も細部まで確認する。男性の営業マンからは仕事が早いからと仕事を評価してもらえるが私にとってはどうでもいい。
私にとって大事なものは小説の評価だけなのだから。とは言っても悪口言われるのはいい気しないし、正直雑用くらいは自分でやってほしい。そう思いながらも自分で反論するということもできないんだから私も大概意気地なしである。

そんな日は小説の執筆が弾む。私がみんなが幸せなれるようなショートストーリーを書いているのも、普段会社で起きていることが一切起こらないような、みんながみんなを思いやって紆余曲折を乗り切るという私の理想をぶちまける為である。
描き始めたキッカケは初めて雑用お局様と悪口を言われる様になった時にすごく辛くて悪口のない物語を書きたいと思ったからだ。

"今日はどんな話にしようかな"とそんなことを思いながら私はパソコンのうちこみを始めた。