「おい、他に俺と勝負するやつはいないのか!」

「無理っすよ」

そこに彼が現れた。

『ねぇ、俺と勝負しようよ』

「いいぜ、入ってきな」

これが彼の日本での初試合となった。

試合を始めて5分、早くも決着がついた。

『ねぇ、もう終わり?』

「お前、誰だよ」

『俺?知らないの?』

その時、どこからか声がした。

「市原瑠華だろ」

『へぇー、知ってたんだ』

「何でお前がここにいる」

『何でって、ここに入学したからだけど?』

「じゃあ、アメリカからの帰国子女か?」

『正解、で、なんか勝負できるみたいだからしてた』

「お前、先輩に敬語話せねぇーの?」

『タメで話すのがやっとこ』

「まぁいいや」

「市原って、市原兄弟の長男か?」

「いや、三男」

「バスケ部のエースで長男の陸斗、水泳部エースで次男の奏斗、アメリカの帰りで三男の瑠華、バトミントン部エースで四男の優斗、男子バレーエースで五男の大和、小学生部門のテニス最強と言われている六男の蓮司」

『よく知ってるね』

「お前がここに居るってことは、入部してくれるのか?」

『いいよ、ただし、俺にあんまり干渉しないで欲しい』

「いいだろう、とりやえず自己紹介するか」

「俺は2年の秋島遥斗」

「双子の弟で秋島歩斗」

「3年の作野真矢」

「同じく山本英士」

「副部長の雪村拓斗」

「俺が部長の高山瑠樹だ」

『改めて、アメリカからの帰国子女、市原瑠華です』

瑠樹「もう一人1年が居るから、秋田正宗、日本ジュニアチャンピオンだ、秋田が来たら3セットマッチだ、それまで真矢、相手してやれ」

『了解』

これが桜ヶ丘学園中等部テニス部歴代最強チームの始まりだった。