「ユイ〜いつまで寝てんのー」

いつも通りの、幼馴染の声。
毎朝起こしてくれる、優しい奴。

「んん…もうちょっと…あと5分……」

私がこう言っても「いいよ」って言ってくれる、優しいやt…

「…あと5分とか言って寝てたら普通に遅刻するけど?」

そう言って、被っている布団をバシバシ叩いてくる。

優しい奴…だっけ?

しかも痛い。痛い…!

「痛いってば!」

「ん、やっと起きた。お前の手を握るのよりかは痛くねぇよ。おはよ。」

「?…おはよ」


「じゃ、俺玄関の前で待っとくから」
「分かった〜」


アイツは幼馴染の、長谷川 シュン。
容姿端麗、頭も中の上くらいに良い。
めちゃくちゃモテまくる。
正直、バレンタインの時とかはチョコの量がヤバい。
しかし、シュンは甘い物が苦手だということが何より女子達にとっては残念な所でもある。
でも、大量に貰ったそれを全部食べるのは、アイツなりの優しさだったりもする。

だが、私はそんな幼馴染を恋愛対象としてはきっと見ないだろう。

準備をして玄関を出る。

「…。」

いない。シュンがいない。

あの野郎…置いて行きやがったな…?


走って学校へ向かう。
ギリギリセーフ。
教室に行き、席に着く。
もちろん、隣の席はシュン。

隣で、シュンは一瞬だけ私に意地悪そうな笑みを見せ、何もなかったかのように目をそらした。

あぁ〜こういう顔を見るから女子達にモテるんだろうな。