1コインでサイダーを、


「あ、じゃあ帰るか」




西谷くんは少し落ち着きがなくて


私もつられてソワソワしてしまう




















帰り道


西谷くんは私に歩幅を合わせてくれて




たまに早くなると後ろを振り返って「ごめん」とか謝って

全然西谷くん悪くないのに





西谷くんってどこまで優しいんだろう、とか思ってしまった



















「優しいね、西谷くんは」


気づけば声に出していて















それを聞いた西谷くんは



ふとため息をついた



























「俺、誰にでも優しいわけじゃないよ」


















「え?」



私には西谷くんの言ってることがよくわからず首を傾げた









































「んーでも」









西谷くんは吹っ切れたように続けてこう言った


「今はその人の負担になるだけだから、


時が来たらちゃんと言うよ」






















「どういうこと?」







やっぱり私には西谷くんの言ってることが分からなくて




なんだか西谷くんが

ひどく大人びた人のように





少しだけ遠くに感じた


























「西谷くんて、好きな人とかいるの?」






特に深い意味もなく私は尋ねた





























「いるよ」








西谷くんは落ち着いた声でそれだけ言って


























私は

西谷くん、好きな人いるんだぁ、、と









考えて





















胸の奥でズキンと痛いような感覚になった




(どうして、ちょっと傷ついてるの私)
(西谷くんは私にとって何でもないただの友達でしょ)



















そう
思った

















ううん違う
















私は
そう言い聞かせていた