1コインでサイダーを、


あれから、何の気なしに西谷くんが私のところに遊びに来るようになった







爽やかで好青年な上に
頭も良くてサッカー部ってこともあって女子からモテモテだけど


元々そんなに女子に自分から絡みに行くタイプじゃなくて

















だから

周りの女子からは少し羨ましがられるような

妬まれるような



西谷くんが私の席に来ると、
たまに痛いくらいの視線を感じる。
























でも当の本人はそんなことお構いなしで


というか鈍感で














多分自分が女子に人気があることすら気づいていない








「窪川、あのさ」























そんな西谷くんが珍しく真剣な面持ちで話しかけてきたから

















私も思わず身構えた



















「あの、さ























良かったら、なんだけど



























今日一緒に帰らない?」

















西谷くんは頭を掻いて俯き加減で



私と目を合わせずに早口でそう言った





















私は不意に笑ってしまって





その声を聞いて顔を上げた西谷くんはいつになく真っ赤な顔で




「今笑うとこじゃないんだけど」


と膨れてみせた





















「いいよ」「あぁ、そうだよね...やっぱり用事あって無理だ...え?!!」








西谷くんが素っ頓狂な声を上げてまた私を見て


「今なんて?!」






また驚いた顔をした

























「一緒に帰ってもいいよって」














私の音声を今度こそ完全に聞き取ったようで


すると西谷くんは






大きくガッツポーズをして
















「よっっっしゃゃゃぁああああああ!!!!!!」

と今まで聞いたことないような大声を上げた


































そんな理由で先生に怒られたことなんて









今までの西谷くんもこれを聞いたらきっとびっくりだ。