「私、前に佐藤くんに言われたの」
あまりにも突拍子もないことを私が言い出すもんだから
ゆきも反射的に黙って聞いた
「佐藤くん、
ゆきのこと好きなんだって」
その一言は
思春期で
まだ本当の恋を知らなくて
日々小さなことに傷ついたり喜んでいるようなちっぽけな私には
到底重すぎた
ゆきも私も
しばらく沈黙した
何を言えばいいのか
お互い迷っていたから。
でもまだ
まだ私は、
私の気持ちをちゃんと伝えきれてない
すると
ゆきが口を開いた
「美鈴は、どう思ったの?」
それは
いつになく優しくて
私より数段大人びた声で
「え?」
ゆきの質問の真意が分からず答えに困っていると
再びゆきが言った
「私が、佐藤くんと付き合ったとして
もしそうなったら
美鈴はそれでいいの?」
