「窪川!ちょっとこれ手伝ってー!」
教室のドアから威勢のいい声が聞こえて
私は無意識にそれにすがった
「西谷くん!」
彼はまた
私を助けてくれたのかな
西谷くんの方まで行ったときにはもう
佐藤くんはそっぽを向いていて
やっぱり自分の自惚れだったのかと思って
また悲しくなった
「窪川、大丈夫?」
「え?」
「あーいや、何か今困ってるみたいだったからさ
本当は手伝うことなんて何もなかったんだけど」
西谷くんは頭を掻いて伏し目がちにして言った
あぁ、いつかの佐藤くんも
こうやって照れて
私はまたゆきを羨ましく思ってたなぁとか。
西谷くんにすら
佐藤くんを重ねてしまう自分がいた
「無理矢理だったかな、?」
西谷くんは自信無さげに言うけど
私には十分
「ううん、助かったよ」
「あ、本当?!よかったぁ」
さっきとは打って変わって
満面の笑みになる西谷くん
「ありがとうね本当に」
