私は 声に出すことが怖かった これを言ってしまえば 完全に私の恋は終わる そんなこと、私にはよくわかっていた でも 佐藤くんの眼差しはまっすぐで 直視出来ないほど彼の姿は清々しくて 私は それを避ける力も勇気も持ち合わせてなかった だから言った 「ゆき、彼氏いないから。 ゆきと上手くいくといいね」 私の目からじんわりと出てくるものがあって 私は慌てて教室を飛び出し 当てもなく走り出した あーあ、終わっちゃった 私には まだ 失恋を受け止める心なんて、ない