匠って……あれ、確か、檜山の名前。
そんなことを思いながら見ると、背後には名前を呼んだ張本人らしい女性が立っていた。
彫りの深いはっきりとした顔立ちに、ベアトップワンピースのドレスがすらりとした体によく似合っている。
アジアンビューティーな風貌の彼女は、黒いロングヘアをかきあげ、大きな口の口角を上げ笑って手を振った。
わ、美人……。
驚いていると、檜山は口を開く。
「愛菜、来てたのか」
「えぇ、父に連れられて渋々って感じだけど。でも匠に会えるなら来てよかった」
愛菜って、彼女のこと?
檜山が下の名前で呼ぶなんて珍しい。そう思っていると、突然彼女は檜山に抱きつき頬にキスをした。
は、ハグ!?そしてキス!!?
いきなりなにを!?
目を丸くして驚く私の一方で、檜山はいたって冷静に彼女……愛菜さんの体を離す。
彼女はそのまま立花社長に気がついて、にこりと微笑み会釈をした。
「立花社長、ご無沙汰しております」
「こちらこそ。お父上とは最近お会いできてませんが、お元気ですか」
「えぇ、もう元気すぎて各地を飛び回ってばかりで。今ちょっと席を外しておりますので、戻り次第ご挨拶に伺いますわ」



