「そっちはどう?気候とか……あ、ごはんとか美味しい?」
『まぁそれなり』
相変わらずのそっけない返事。だけど、今はそのひと言すらも嬉しい。
『けどまぁ、ミネコの焼きそばのほうが美味いかな』
伏し目がちに小さく笑う姿が想像ついて、それがまた胸をときめかせた。
「帰りは3日後だよね。何時頃?」
『午前中。社長送り届けてから帰るから』
午前中、ってことは私が仕事に出てから帰ってくるって感じかな。
すぐに顔が見られないのは残念だけど……でも、その日の夜には会えると思うと楽しみに胸が膨らんだ。
「お土産、忘れないでよ」
『わかってるって』
ふふ、と笑った私につられるように檜山の笑い声が聞こえた。
じゃあ、と短い会話を終えて電話を切る。
すぐホーム画面に戻るスマートフォンをぎゅっと握って目を閉じると、檜山の低い声が耳元でまだ響いているのを感じた。



