「なにふてくされてんだよ。そんなに田丸さんと帰りたかった?」
「自分こそ。本当は私じゃなくて、あの子を家に連れ帰りたかったんじゃないの」
異性の話には異性の話を、と思い反論するけれど、嫌味っぽい言い方になってしまった。
その発言に檜山は「あの子?」といまいちピンときていない様子だ。
「胸が大きい子にデレデレしちゃってさ!スケベ!変態!」
「あの子って……あぁ、あの人。俺がいつデレデレしたよ」
「してたじゃん!腕組まれて胸くっつけられて拒みもしなかったじゃん!」
酔った勢いでつい責めるような言い方になってしまう。それに対し檜山からは呆れたようなため息が聞こえた。
「あの手のタイプは強く拒むと余計火がつくから、無視するに限るだろ」
「言い訳じゃん!本当ありえない、嫌い!」
窓の方を向いたまま、発した『嫌い』の言葉。
もちろん本気なんかじゃない、けれど今のこのモヤモヤとした気持ちを表すには子供のようなこの言葉しか出てこなかった。
すると檜山は少し黙ってから、声を発する。
「……あっそ、じゃあ俺もお前のこと嫌い」
そしてそう呟くと、顔を窓の方に背けたのが窓に反射した姿でわかった。



