一途な彼にとろとろに愛育されてます



「ここでは他の方の目もございます。よろしければあちらで」



背中を向ける彼がどんな表情をしているかはわからない。けれど、その低い声には怒りが含まれているのが感じ取れた。


騒ぎ声を聞きつけた人々がホールからこちらを覗き込む。

その視線に気づいたらしく、男性は瞬く間に勢いをしぼませ檜山に連れられその場をあとにした。



「白浜さん、長嶺さんも大丈夫でしたか!?」



駆けつけてきた後輩に、白浜さんは堰を切ったように「うわあああん」と泣き出した。



「長嶺さん、迷惑かけてごめんなさい、怖かったです〜」

「よしよし、よく頑張ったね」



ぐしゃぐしゃな泣き顔もかわいらしい彼女の頭をよしよしと撫でて、なだめる。



「白浜さん、ちょっと落ち着くまで休んでおいで。私仕事戻るから」

「いいんですか?さすが長嶺さん、たくましい……」

「それほどでも!あ、じゃあ早速飲み物のストック用意しに地下の冷蔵庫行ってくるね」



ふたりの前でそう明るく言ってみせると、私はその場を小走りであとにした。