「いたっ……」
大きな手に思い切り掴まれ、痛みを感じると同時に恐怖が込み上げた。
まずい、大丈夫かな。なにされるんだろう。
この勢いでは、殴られるかもしれない。
怖い、どうしよう。
でもここから退くわけにもいかない。震えそうになる足でぐっと踏ん張る。
「たかが従業員が俺をバカにしやがって!」
けれど男性は、怒鳴り声をあげ私を勢いよく床に突き飛ばした。
「きゃっ……」
思い切りよろけ、ひっくり返りそうになった、その瞬間。背後から誰かが肩を抱き、よろけた体を受け止めてくれた。
驚き顔を上げると、それは檜山だった。
「ひ、やま……?」
大きな手でしっかりと私の体を抱きとめる、その力強さに驚いた。
檜山は私が無事なことを確認するとそっと手を離し、真っ直ぐ男性のほうを見据えた。
「事情はうかがわせていただきました。当ホテルの者が大変申し訳ございません、誠心誠意ご対応させていただきます」
「なんなんだ、次から次へと!お前に関係ないだろ!」
男性は今度は冷静な檜山に対し掴みかかろうと腕を伸ばす。
それに対して檜山は、避けることもなくその腕を掴んだ。



