「どうかされましたか?」
「長嶺さん……」
私の顔を見た白浜さんは、泣き出す一歩手前だ。
そんな彼女を見たら、守らなければと思ってしまい、咄嗟にふたりの間に割り込むと腕をつかむ手を離させた。
「この女が俺のスーツにワインをかけたんだ!だから責任をとれと言ってるだけだ!」
「白浜さん、お客様がおっしゃってることは事実?」
「確かにかかってしまいました……けど、元々お客様が強引に腕を引っ張ってきて、その時に運んでいたワインがかかってしまって」
相当責められ、ホールからここまで強引に連れ出されたのだろう。
白浜さんは震えた声で説明しながら、涙をポロポロとこぼす。
私はそんな彼女を背中に隠すようにして、男性へ頭を下げた。
「大変申し訳ございませんでした。お洋服に関しましてはこちらでクリーニング代をご用意させていただきます」
「それだけで済むか!ふざけるなよ!」
マニュアル通りの対応だけれど、ここまで興奮した男性がそれだけで納得するわけもなく、私の肩をガシッとつかむ。



