ところが。そんな話をした日の午後のことだった。
「私、檜山さんのことが好きです」
お昼過ぎに休憩に入った私は、ご飯でも食べようと従業員用通路を歩いていた。
そこでたまたま応接室前を通ろうとしてところ、檜山が若い女の子に捕まっているのを目撃してしまった。
かわいらしい上目遣いで檜山を見つめる彼女と、それに対して真顔で向かい合う檜山。
そんな光景を、私は物陰からこそこそと覗き込む。
今朝噂してたそばから早速……!
瑠璃いわくこの前も言い寄られてたらしいし、どれだけモテるのよ!
「だから、もし彼女とかいないなら私と付き合ってほしいなぁ、なんて」
くりっとした二重の目が愛らしい、小動物のような女の子。自分がかわいいのを知っているのか、にこ、と笑ってアピールをする。
そんな彼女に対しても檜山は眉ひとつ動かさずに口を開いた。



