一途な彼にとろとろに愛育されてます




そう、これまでうちの社内で一番人気を誇っていたのは立花社長。

若く有能なオーナー社長、さらに背も高く顔立ちも綺麗で、昔はピアニストだったという話も聞いた。モテないわけがない。

けれど、その立花社長が先日結婚したそうで、それまで立花社長を狙っていた人たちが『イケメン社長がダメならイケメン秘書』と言わんばかりに檜山を狙っているのだ。

先日檜山を囲んでいた人たちもそれだと思う。



檜山との関係はこのままでいたい、と思う反面、のんびりしている余裕などないこともわかっている。



「この前も言い寄られてるの見たし……断ってたけど。向こうに彼女が出来てから後悔しても遅いんだからね」

「はい……」



たしかに……。

そうだよね、でも、とつい背中を丸めて頭を抱える私に、瑠璃は気合いを入れるように背中をバシッと叩く。



瑠璃が言っていることは今日も正しい。

けど、そんな勇気があるなら何年も同居人に留まっていないというか、なんというか。


はぁ、とため息をついて私はフロントへ向かった。