「ねぇ、今度飯行こうって。だから連絡先交換くらいいいじゃん」
「すみません、業務中でして……」
「いいじゃん。客の誘い断るとか感じ悪いよ」
様子をうかがっていると、断る亜子に対し男は強引に言い寄り顔を近づける。
その距離感がもう我慢できず、俺は近づき、男の肩を掴み引き離した。
「お客様、そういった行為はお断りしております」
普段客には絶対にしないけれど、今は別だ。
肩を掴む手に力を込めてじろりと睨む俺に、男は驚いたように「えっ!?」と高い声をあげた。
「それ以上しつこくされるようでしたら警備を呼びますが」
「警備!?いや、あの、すっすみません!!」
たったひと言で、男はすぐ怯み亜子から手を離し逃げていく。
その場には俺と亜子のふたりだけが残された。
ふたりきりになった途端、亜子は気が抜けたように「ふぅ」と息をひとつ吐く。



