「本当に、檜山さんにとって長嶺さんってただの同居人なんですか?」
「え?」
すると、杏璃さんが発したのは予想外のひと言だった。
本当にただの同居人か、って?どういうこと?
その意味をたずねるように首をかしげると、杏璃さんは目の前のお皿に盛られたサラダをフォークでさしながら言う。
「私一回だけ長嶺さんのこと聞いたことがあるんです。『同居してる子ってどんな子ですか?』って」
えっ、檜山とそんな話を?
彼女と檜山の間に自分の話題が出ていたなんて、檜山自身は聞かせてなどくれないから知らなかった。
「そしたら檜山さん、『喜怒哀楽が激しくて、酒飲みで、泣き顔がブサイクなやつ』つて」
「ひどい!」
全然嬉しくないんだけど!
声をあげた私に杏璃さんはくすくすとおかしそうに笑う。
「でもその後にね、小さな声で『そこも含めてかわいく思えるから困る』って。その時の檜山さん、耳まで真っ赤にしてかわいかったなぁ」
檜山が、私を……?
かわいく思えるなんて、そんなことを言ってくれていた?
耳まで赤く、そこまで照れることなんて滅多にないのに。



