「長嶺さんは檜山さんとお付き合いしてどれくらいなんですか?」
「あ……いえ、それが、そもそも私は檜山の彼女じゃなくて」
勘違いしたままの杏璃さんに訂正すると、彼女は目を丸くして驚く。
「え!?付き合ってない!?なのに何年も同居してるんですか!?」
「はは……まぁ、そうなんです」
「それはそれですごいなぁ。相当相性がいいんですね」
感心したように頷く彼女の『相性』という言葉が少し引っかかった。
相性がいいから、何年も一緒に暮らせてる。
……そうなのかも、しれないけど。
「本当に相性がいいなら、もうとっくに恋人になれてると思います」
苦笑いでそうこぼすと、杏璃さんはその言葉から私の気持ちを察したようだった。
「長嶺さんは、檜山さんのこと好きなんですね」
率直にたずねられ、もう隠す気にもなれず頷く。
「……はい、もう何年も。でも檜山にとっては私はただの同期で、そのよしみでの同居人でしかないから。ずっと片想いのままで」
好きなのに、好きだから。
進めないままの気持ち。
「恋人になれなくても、このままずっと一緒にいられるならいいと思ってたんです。でも、檜山が他の人には見せる顔があると思うと、苦しくて」
言葉にすると同時に胸にこみ上げる苦しさをこらえるように、私は膝の上でぐっと拳を握る。



