一途な彼にとろとろに愛育されてます




ところが。

最上階にあるこのホテルの目玉、ビュッフェレストランの窓際の席で、私はひとり硬直する。



なぜなら、目の前の丸いテーブルの上には、白いクロスを覆い尽くすほどの料理がずらりと並べられているのだから。



「あ……あの、杏璃さん?こんなに持ってきて食べきれるんですか?」

「はいっ。むしろおかわり行けちゃいます!」

「お、おかわり……」



その言葉通り、杏璃さんはぱくぱくと料理をたいらげていく。

私と同じくらい、いや私より華奢なのに。その細い身体のどこに入っていくのか……。



驚きながらも、自分の分としてとってきたパスタをひと口食べる。

そんな私を見て、彼女ははっと我に返ったようにフォークを持つ手を止めた。



「あっ、ごめんなさい。自己紹介もしてませんでしたね」

「いえ、杏璃さんのお名前は檜山からおうかがいしていましたので」

「そうなんですか?じゃあそちらのお名前お聞きしてもいいですか?」



そういえば私も名前を名乗っていなかったことを思い出す。



「申し遅れました、長嶺亜子と申します。こちらのホテルでフロント担当として働いております」

「フロント……!かっこいいですね!」



座ったまま礼をすると、杏璃さんは感心するように目を輝かせた。

フロントがかっこいいって……初めて言われたかも。

お世辞っぽさのない素直な物言いが、彼女をいっそう素敵に見せた。