「檜山、あの人のこと好きなんだって?」
声が震えてしまいそうになるのを堪えて、問うと、ちょうど缶に口をつけていた檜山はビールをゴホッと吹き出した。
「は!?なんの話?」
「先輩が言ってた。檜山本人から聞いた子がいるって噂だって」
「俺が?そんなのいつ……あ」
檜山は口元を手で拭いながら、一度は否定する。けれど、やはりなにか思い当たる節があったようで、少し考えてから頬を赤くした。
「いや、その話はそういう意味じゃなくて、その」
照れ臭そうに言いながら、赤くなる頬を隠すように顔を背ける。
彼女の話になると、そんな顔見せるんだ。
照れた表情、赤い肌、そんなのひとつも見たことがなかった。
それだけで、噂が事実だと認めているようなものだ。
またいっそう、胸が苦しくて、呼吸がしづらくなる。



