檜山の好きな人?
そんなの、知らなかった。
だって檜山もそんなことひと言も言ってなかった。
それに、好きな人がいるのに抱きしめたりする?
会えない時間に電話をくれたり、あんなに心配してくれたりする?
そうだよ、だから。
自問自答を繰り返し、ふとひとつの答えにたどり着いてしまう。
……あぁ、そっか。
言う必要がなかった?
私はただの同期で、そのよしみで一緒に暮らしているだけで、それ以上のことはないから。
仲の良い同期だから、異性として見ていないから、抱きしめるくらいできる。
友達として声を聞きたいときもあって、友達だから心配する。
なにも、特別なことなんてなかった。
瑠璃の言う通りだったかもしれない。
今の関係をなくすくらいなら、このままいられたらいい、なんて進まずにいたから。
私は、同居人以上にはなれなかった。
勇気を出していたら、もしかしたら、変われる可能性もあったかもしれないのに。
自業自得、だ。



