「でも、私のせいで途中で抜け出すことになって……私、檜山の迷惑にしかなってない」
震えた涙声で言うのは、バスルームで愛菜さんの言葉を思い出しながら何度も繰り返した言葉。
こんな私だから、つりあわない。
いつも檜山に甘えて、迷惑かけて、情けない。
こんな私が檜山のそばにいたいと願うことを、彼に知られるのが恥ずかしい。
様々な思いが次々とあふれだし、涙となってポロポロとこぼれていく。
それを隠すように両手で顔を覆った私に、檜山はそっと手を伸ばす。
そして顔を覆う手をどかし、両手で私の顔をつかむと親指で涙を拭ってくれる。
「そういうのなし。迷惑とか、そんなこと思ってない。俺が連れてきたくて連れてきたわけだし」
コツン、と額と額を合わせ、顔を近づけた。瞬間その表情は、悲しげに目を細める。
「……むしろ、ちゃんと守ってやれなくて、ごめん」
ごめん、だなんて。どうして檜山が謝るの。
そんな悔しそうな声で、悲しい目をするの。
檜山はなにも悪くないのに。
守ろうとしてくれていた、その優しさに胸が温かくなり、いっそう涙がこぼれだす。
「泣きすぎ。意外と泣き虫だよな、ミネコ」
そんな私を見て檜山は困ったように笑うと、また涙を指先で拭った。



