一途な彼にとろとろに愛育されてます




「ちょっと、大丈夫?」



頭上から愛菜さんの慌てた声がする。けれど、私はワインをかぶり、どうしていいかわからずに座り込んだまま。

次第に周囲からは、クスクスと笑い声とともに『恥ずかしい』『うわ、悲惨』と声が聞こえてくる。



どうしよう。恥ずかしい、けど、どうすればいいかわからない。

こんな自分に不相応な場所で、ワインかぶって、笑われて。



……泣き、そう。

せめて泣き顔だけは隠そうと俯くと、前髪から滴った赤ワインが膝にぽたりと落ちた。

その時だった。



「ミネコ」



名前を呼ばれると同時に、体はふわりと持ち上げられた。



「えっ、檜山……?」

「大丈夫か?行くぞ」



なにが起きているのか把握できずにうろたえる。そんなこちらの戸惑いなど御構い無しに、檜山は私を抱えたままその場を歩き出した。



さっき、あんな態度で突っぱねたのに。それなのに、私をあの場から救い出してくれた。

なんでそうやって、困った時には助けてくれるの。

体をしっかりと包む力強い腕が優しくて、その安心感に余計泣きそうだ。



「檜山、大丈夫だから、降ろして……スーツも汚れちゃう」



泣きそうになるのを堪えて言うけれど、檜山はそれを無視して歩き続ける。

そしてそのまま会場を出て駐車場に停めてある車へ戻ると、私を乗せ、車を走らせ出した。