「彼女、檜山の大学の同級生らしくてな。学生時代に何年か付き合ってたらしい。まぁ、他の男と政略結婚させたい彼女の親がいい顔しなくて、卒業後少しして別れたみたいだけど」
学生時代の、元恋人……。
親が理由で別れたってことは、ふたりの中ではまだ終わってないのかもしれない。
檜山の中には、まだ愛菜さんがいる。
だから、異性と暮らしてもなにもない?
私は、同居人以上には見られない?
そう思うと妙に納得できてしまうと同時に、胸の奥に針が刺さるような痛みを感じた。
そのまましばらくは立花社長とふたりでいたけれど、立花社長はなかなか戻らない奥様を心配して探しに行ってしまった。
ひとりその場に残った私は、シャンパンのおかわりを貰い、そのまま二階のテラスに出た。
秋の夜風が少し肌寒い。けど、酔いが冷めてちょうどいいかも。
しばらくここで大人しくしていよう。
知り合いはいないし、万が一誰かに話しかけられても受け答えに困るし。



