「そうだ。ねぇ匠、向こうに懐かしいメンバーが何人かいるの。来て来て」
そして檜山の腕にぎゅっと抱きつくと、子供のように無邪気に腕を引っ張った。
「いや、一応仕事中……」
「仕事とはいえパーティを楽しむくらいいいじゃない。ですよね?立花社長」
パーティとはいえ社長のそばを離れるわけには、と言いたげに檜山は彼女の腕を離そうとする。けれど、愛菜さんは腕をしっかりと絡めて離さない。
そんなふたりから視線を向けられた立花社長は一度私を見てから、なにか言いたそうに、けれど言葉を飲み込み頷いた。
「あぁ、行ってこい。長嶺なら極力俺がついててやる」
立花社長のその返事に、愛菜さんは満足げに笑うと檜山を引っ張りホールの奥へ連れて行った。
あのくっつき方……絶対胸当たってるよね。
ていうかなんなの、あれ。ただの友達?それにしては距離が近すぎる。
檜山も慣れた様子で拒まないし、ということはあの距離感がふたりにとっての当たり前……。
様々な思考が一気に脳内にめぐり、心の中をモヤモヤと曇らせる。



