私の好きな人




「てか、小林くん当番じゃないよね…」



冷静を取り戻しつつ、私はカウンターの整理を始める


カウンター整理…………まぁ意味は無い


そう、全然
冷静ではない。



そんな様子の私を見て、真剣な表情から一変した小林くんは、どこかニコやかだ



「当番じゃないと居ちゃダメなんすか?彩月と2人っきりになれるのココしかないだもん」

「……」


…………言葉が……出てこない



「ねえ彩月、今日も一緒に帰ろ?」

「…いや、無理です」

「だよなー、やっぱり幼なじみと約束してるよな」

「……ッ」


"そうです。"
このワンフレーズが出てこないのは何故…

なぜか恥ずかしくて…


とくに小林くんには言いたくない



「彩月」

「…なに」

「俺、結構まじで好きだよ?彩月のこと」

「ッッ…」

「さっきの女の子はちょっとした俺のファン的な?だからそこは気にしないで。ね、俺と一緒に帰ろーよ」


…いやだから帰らないってば…

そもそも、さっきの女の子のことなんて1ミリも気にしてないし


って心では突っ込んでみるものの
さっきからドストレートに飛んでくる言葉に私は何も言い返せない



小林くんは恥ずかしいという感情はないの…



「あーあとさ、彩月には悪いけど幼なじみには負けないよ」



そう言うと、小林くんは私の隣に座った



「……だから、こ、小林くんは当番じゃ…」
「ん?あー当番ね、代わってもらった」

「……」

「彩月と少しでも一緒に居たいから」

「……」

「…そんな恥ずかしがんなよ」

「ッッちがうから…ッ」

「はいはい、素直でよろしい」




………なにか違う


まんまと小林くんのペースにのみ込まれてる気が……



だめだ!

私は良平が大好きなんだ!!!!


こんなチャラチャラの女好きなんかと一緒に帰るもんか…


好きとか、やっぱり信じられない…

絶対からかわれてる


もう…さっさと

「…ッ小林くん!」

「フフ…なに?」


力いっぱいに名前を呼んだことに、うっすら笑った小林くんは、とても意地悪く自慢げな表情だ



「私ね、悪いんだけどッッ」
「あーストップ!!」
「へっ?!」

「悪いんだけど…の続きは言わなくても分かるから大丈夫」

「いや…」

「だーかーらー、それ以上言うと口塞ぐよ、強引に」

「は?!」

「あなたのお口、俺のお口に奪われたくなかったら黙ってね」

「へ?は、なに…ッッ///」



爽やかに笑う目の前の生き物に

私は軽くパニック状態だ



冷静な小林くんは鞄から本を取り出して、パラパラとページをめくりだした



ダメだ…

やっぱり苦手


小林くんが発する言葉何もかも

…………混乱してしまう





「……ごめん、、すぐ終わるから…付き合ってよ」

「え」


「1週間だけ、ダッセー俺らに付き合って。ちゃんと諦めるから」


「………」



小林くんは
こっちをあえて見ない




…さっきから少し引っかかってたんだけど…


小林くんは
私が選ばないことを知ってる


""彩月には悪いけど""

""悪いんだけど…の続きは言わなくても分かる""


その覚悟ができてる言い方しかしてない