「それに?あ、幼なじみが好きだ…かな?」

「……っ」

「…まぁ分かってたけど、付き合ってないんでしょ?なら俺にも可能性はあるよね」



なんでこんなに意志が強いの…?


何で私のことなんか…



「小林くんって変だよ…」

「変って言われても………好きなもんは好きなんだよなぁ」

「な、なんで私なの…」

「さぁ、なんでだろうね」


……やっぱりどこか楽しそうな小林くん


からかってるんだ


間違いない…


金持ち遊びの一つだ


私も哀れなものだ


こんな遊びに巻き込まれるなんて



けど、これ以上は私も騙されない


ちゃんと返事して、こんな茶番は終わらせよう

「ごめんなさい…小林くんとは付き合えない」

「そっか。分かった」


……ん?

これで終わり?


なんだ…私がちゃんと返事してれば、秒で終わることだったのね


所詮、お金持ちのお遊び(しつこい)


日本トップ企業の御曹司だもん、たくさんの美女との出会いはあるはず



小林くんが私のことなんか本気で好きなはずがない



「…じゃあ、私」
「よし…じゃあ久々に本気出すかな」

「え?」

「俺に夢中になっちゃうよ?大丈夫?」

「………」



どういう…意味?


分かったんじゃなかったの?


私が分かんなくなってるんですけど



「諦めないってこと。覚悟して」

「いや…」



私の落ち着き始めた思考回路は、またしても停止しそうだ





「彩月っ!」





突然遠くから私を呼ぶ声が響く


「……まだいたんだ…」


声の存在に気づいた小林んは静かに呟いた



人混みを避けながら、こっちへと向かってくるのは



「良平?!」


よかった…


もう今日は会えないと思ってたから


良平の姿を見た私は、安堵の表情を浮かべてた



息を切らしながら私の前に現れたと思った瞬間…



「ごめん…やっぱ無理」

「え……」



強引に手を引っ張られ





勢いよく私の体は良平の腕の中へ___