薄暗い空間で良かった
きっと私…興奮してすごい顔になってると思う
顔を見られないように、とにかく喋らなきゃ
「これ凄い!良平見て!」
「うん」
「クラゲって、こんな種類あるの?」
「みたいだな」
「へぇ…クラゲって毒あったよね」
「うん」
「触れただけで死ぬの?」
「……どうだろ」
「怖いよねー、あ、あっちにも大きい水槽ある!」
必死に喋る
気付いたら良平は返事だけ
ずっと繋がったままの手は、きっと汗がすごい
良平……
手………繋いでるんだよ?
まるで
恋人みたいに
良平を相手に、珍しく私は調子狂う
今日の良平は……らしくない…?
いや…迷子になってしまう可能性を考えて繋いでるのかも
この人混みだもん
……そうかもしれない
良平の優しい性格
それなら良平らしい
なんだかんだ言ってますが
結局は興奮してます
私の左側だけ、私のものでは無いようです。
ふと視線を良平に向ける
良平も目の前の世界に少しは感動してるのかな
薄暗い部屋でブルーに輝く水槽からの明かりが
いっそう良平をカッコよくする
……幸せだな
大好きな人と一緒に居れることが
すごく幸せ
「…なに」
「……ごめんなさい」
思わず見すぎてしまい、良平と目が合う
……私のアホ。
「……彩月」
「はい…」
「あのさ」
良平は水槽から視線は外さず喋る
見てたこと……怒られる……?
「あれ?彩月?」
良平が喋ろうとした時、後ろから私を呼ぶ声がし、振り向いた
…………うっそ…
なんでいるの……?
声の主は
「…小林くん?」
「すご!偶然ー」
楽しそうに寄ってくる小林くん
なんで小林くんが?
…1人?
寄ってきてますけど……
なんで来るの…
今は良平と…
「っ…///」
握られた手の力が強くなった気がした
「…良平?」
「……」
良平の表情は
真顔で怖い
………手が痛いよ…良平

