私の好きな人




「彩月?」

「…お母さん」


ちょうど庭で作業していたお母さんが、ひょっこりと覗いていた


「おかえり。誰に送ってもらったの?自転車は?」

「あ……」


駅に置いてある自転車を忘れてた


駅までのつもりが……なぜか断れなくて家まで…


「なに、また壊れたの?!」

「ううん、違うよ…自転車は元気」

「…そう。(元気て…って本当はツッコミたい)誰?一緒に帰ってきた人」

「同級生だよ。委員会が一緒で、たまたま送ってもらうことになったの」

「同級生…ねぇ。お友達さん、すごい目立つ車なのね。停まった時は思わず隠れちゃった」

「ははは……だよね」



なぜか、私とお母さんは…引きつった笑いを浮かべる



そりゃそうだ…


この辺じゃ見たことがない高級車だもん

私はドラマとかテレビでしか見たことがなかった


そんな車が家の前に停まって、私が降りてきたんだもん



そりゃ、お母さんも隠れてしまう……



にしても自転車……うっかりしてたな


明日、歩いて駅まで取りに行かなきゃ



「さ!家入って晩御飯よ」

「うん」


何かを切り替えたように、二人は家の中へと入った



この目立つ高級車に


目撃者が多数



私は何も考えてなかった…



一番見られたくなかった人に目撃されてたなんて