「彩月の家ってどこ?」
「…駅でいいです」
「なんで?」
「………」
高級車の座席は私の体をしっかり包み込む
なんとも心地よいが、早く降りたい
早く降りたいので。とは言えず…
なんで?の返事が出来ない
「もうすぐ暗くなるし、家まで送らせてよ」
「……………はぃ」
「よし。で、家は?」
伝えた住所は運転手に伝えられた
いいのか…私
これ………何が起きてるの?
「…びっくりした?」
「うん」
「はは…そこは素直だね」
「……」
「ごめん、これ俺の正体」
そう言って1冊の本を渡された
「Kobayashi・JapanHoldings」
「知ってる?」
「これって…」
知ってる…よ
Kobayashi・JapanHoldingsってホテルチェーンなどやってる有名な会社だ
ファミレスの展開や老舗の旅館などなど……
CMでもよく見る…
「そこの現社長の息子です」
「まじ?!」
「うん、てか元気だね」
「あ、ごめん…」
「…可愛い」
「……っ」
咄嗟に持っていた本で顔を隠した
急に可愛いとか…
やめて欲しい!
ていうか…
今、私の横にいる人は
小林 葵羽
Kobayashi・JapanHoldingsの御曹子
それはそれは
住む世界が違う御人だ
「引いてる?」
「いや、びっくりした」
「だよね、先生以外は誰も知らない話。内緒でお願いします」
「え…なんで私に」
「彩月は特別」
「………」
この直球の発言に慣れる気がしない
目のやり場に困り、外へと視線をゆっくりと動かす
てかさ、内緒でお願いしますって…
車でお迎え来てる時点でアウトでしょ

