私の好きな人

「……ふぅ」


ふかーく深呼吸

もうすぐ本を借りにカウンターへとやって来るだろう良平を待ちわびる


「森岡さん?」

「はい」

「あれ、怒ってる?」

「いいえ」

「…怒ってんじゃん」

「いいえ」


冷静に…


なぜか人格が少し変わった小林くんの相手は休憩


落ち着いて…


良平の前でカウンター業務を立派にこなすのよ



「なんかごめん、つい森岡さんの反応が可愛いからさ、調子乗ったかも」

「……///」

「けど茶化すつもりないし、話したことは本当だから。気悪くしてたらごめん」

「いや…そんな」



なんなんだ…


男の人って皆こうなの?


女の人に平気で可愛いとか…言っちゃうの?


もう…ほんと調子狂うよ



こんなの初めてだ



「お願いします」


……!



(ガタッ!!


…………2回目。



いつの間にかカウンターへ来ていた良平にビックリして腰を抜かしました。



「大丈夫…か」


なんとも…みっともない……


良平の顔……心配を通り越して残念な顔してる



もぉ…さいあく


少し高めのこの椅子が悪いのか…?


とりあえず相性は良くないことは分かった



「ごめ…ん、大丈夫」


精一杯の笑顔で対応

それに対して苦笑いの良平


はは…


情けねーーーーー!!!



「えっと…藤 良平さん、これに学年と組とサインお願いします。」

「…はい」


……大丈夫かよ…

って言いたそうな顔



頼りないよね…やっぱり


私はいつもこうだ


完璧な良平と全く釣り合わない



「ありがとうございます。受付完了です」

「どーも」



もっと話したい


もっと近くにいたい


こんな私だけど


良平に知ってもらいたい


私って存在を


良平に残してもらいたい



「今日から?」

「へ?」


貸出カードを処理中、頭上から良平の心地よい声が


「頑張れよ」

「…っうん!頑張る!」

「…じゃあな」

「うん!じゃあね!」



嬉しすぎて私には分からない


図書館でバカでかい声を出してたことなんて


分からないし気にしない


少し戸惑う良平の態度にも気付かない



「飼い主に犬だな」



そう小さく呟いた小林くんの声も全く聞こえてはいない