私の好きな人




「なんだかんだ言って結局一緒に来てんじゃん」

「うん…たまたま玄関で一緒になって」

「たまたま…ねぇ」

「なに…」

「いや、でも良かったじゃん。悩むことなんてないんだよ。あなた達は普通にしてれば一緒にいられる仲なんだから」

「……」



お昼休み


桜子と屋上でひとときタイム



そう、桜子の言う通り私達は普通にしてれば一緒にいることなんて当たり前な関係


幼なじみだもんね



幼なじみ…



けど、だからなんだよ



私が悩む理由



幼なじみを好きになっちゃったんだ



良平といると普通じゃいられなくなってきてる



どんどん好きになっていってる




当たり前に一緒にいることが特別に思えて




嬉しい反面、欲が出てくる




この想いが伝わることなんてない



伝えることなんて怖くてできない




どんどん臆病になっていってる




幼なじみってだけで私と良平は特別なのかもしれない



けど、それがまた壁なんだ……



辛いんだよ…



「彩月」

「ん?」

「暗い」

「はい?」

「最近の彩月、良平くんのこと考えてる時暗い」

「……」


確かに…


不安ばっかり増えてるかも



「普通さ、好きな人のこと考える時ってもうちょっと明るくならない?」

「…うん、そうだよね」

「そりゃ好きすぎて不安になる気持ちも分かるけどさ?相手が幼なじみで恋愛の壁があるのも少しは分かる」

「うん」

「だけど、彩月まだ何もしてないじゃん」

「……うん」

「もうちょっとさ、良平くんを好きなことに楽しむことから始めたら?」

「楽しむ?…なんか恋愛上級者から言われると難易度高そうなんですけど…」

「まぁたそんなこと言う」

「だってー…」



楽しみたいよ


思いっきり楽しみたいよ



好きな人がいるってだけで毎日が違う世界になって


好きな人がいるってだけで



それがすごく幸せなことで



単純に



良平との関係を楽しみたいよ




けど私はそんな強くはなかった




「分かった!じゃぁ私が良平くんに探り入れてみようか?彩月のことどう思ってるか」

「それはやめて!」

「なんで」

「…恥ずかしいじゃん。それにもし…」



あー…やっぱり怖い


良平の気持ち知るのなんて…無理



なんの手応えもないこの状況で、この恋が成就するはずがない



「じゃぁどうするの?このままズルズル良平くんを好きなまま不安なまま暗いまま?」

「それは…いつかタイミングが来るのを」

「待ってても来ないね。タイミングなんて待ってても来ない。」

「そんなこと…」

「ある!タイミングは自分から作るもの!」

「桜子は恋愛上級者だから」

「さっきからなにそれ?私は全然上級者なんかじゃないし。彩月と同じだし。あーもう!ゴチャゴチャ言ってないでタイミング作るよ!もう決めた!遊びに行こ!良平くんと!」


「へ?!」